Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
姿勢よく館内へ入る野村を見送って、武田と烏養がほうと息をついた。
「···礼儀正しい子ですねえ···」
「間違っても校舎ぶっ壊したり、ガリガリくん食い過ぎて腹壊したりしねえんだろうな、ああゆうヤツは···」
「でしょうねえ···」
「忘れ物ないように気を付けろよ⁉このバスは一遍宮城に帰って最終日まで来ないからな!忘れ物したらそれきりだぞ!」
澤村が全員に声をかける。
「二泊三日困りたくなきゃちゃんと確認して降りような?ゴミもちゃんとまとめて残すなー?マナーだぞ、マナー!」
続けて菅原が注意を促す。
「澤村さーん、ノヤッさんが起きませーん」
「置いてけ」
田中が挙手して言うのに、澤村はビシッと手を振る。
「菅さーん、影山も起きませーん」
続いて日向が挙手して言えば、菅原がバックを担ぎ上げながらニヤッと笑う。
「月島に起こさせろー。一瞬で起きるべ」
「···何ですか、それは」
「ははは、ツッキー頼りにされてるね」
「······バカにしてる?山口」
「してないしてない!褒めてんだよ?」
「全ッ然褒められてる気がしない。退部したくなるから止めてくんない、そういうの」
「ここで退部したら野村さんに預かって貰うからな。早く影山を起こせ、月島。清水、西谷に声かけて」
「あ、はい」
澤村に言われて清水はコクリと頷き、月島は小さく舌打ちした。
「···ちッ。回送したらいいんだよ、宮城までさ」
「何か言ったか、月島?」
「何でもありませんよ。わかりましたよ。はぁ、たく、子供以下。自分で起きろよ。バスで熟睡すんなよ。腹壊すなよ。ホント信じらんないよ。おかしいでしょ」
「はいはい、月島ブツブツ言わない。旭ー、先降りて下の荷物振り分けてなー」
「おー」
菅原に声をかけられた東峰が、網棚に手をかけて車内を見回す。
「降りれるヤツは降りろー。運転手さんにお礼忘れんなよー?」
「ぅいーす!」
「···まあ、これはこれで、まとまりがあるうちの形ですかね」
喧しい部員らを見渡して武田が苦笑する。烏養は渋い顔で頭を掻いて頷いた。
「しょーがねえ、これが烏野だ。おいコラ、すぐ入所式だぞ?荷物置いたら体育館に集合!急げよ、ほら!」