Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
「本っ当に申し訳ない!うちのバカどもが、もう本当に申し訳ない!」
烏野の監督、烏養の頭が勢いよく下がる。
「休み明けに校長先生にお話して、改めて謝罪させて貰います。他校の校舎を損壊するなんて、悪気はなかったとしてもとんでもない事です。本当に申し訳ありません」
顧問の武田が困り顔で訥々と言う。
「気になさらないで下さい。元々休み明けから業者が入って基礎の見直しをする予定でしたから、大事ないでしょう。そもそも一番悪いのはうちの弟です」
膝に紙袋を抱えた野村が静かに答える。
「それよりうちの学校の理事は度を越した動物好きですから、猫を助けた事を喜んで寧ろ礼を言って来る可能性すらあります。うっかり気に入られるとおかめインコやらモルモットやらを贈りつけられるので気をつけて下さい。しっかりわかり易く断らないとどんどん家族が増えますよ」
「それでアンタは何でここにいる訳?」
後ろの座席から坊主頭を突き出して、田中が不思議そうに野村の顔を覗き込んだ。
「ブルーベリー観光大好き?だったら伊達工ンとこ行きゃいいのに。あっちはカラオケあるし、コナンくんがいんだぞ?こっちはただの走る箱べふ・・・ッ」
「箱が厭なら走れ、お前は!」
烏養の鉄拳が田中の頭に飛んだ。
「人ンちの学校ブッ壊して何カラオケだの名探偵だの言ってやがんだ、バカ!」
「ちょ、俺、何もしてないスよ!?今回に限っちゃマジ何もしてねえし‼どうしちゃったの!?監督!?」
「あれ?そうだっけ?」
「そ・・・そうだっけってこんな破壊力ある言葉だっけ?アレ?何かスゲーヘコんだ···アレ?何でだ?」
「確かに今回田中くんは何もしてませんよ」
武田が苦笑いして言った。
「田中さんは悪くないです!」
田中の隣から、日向が顔を出した。
「そうだった、な!悪いのはお前と西谷だった、な!」
烏養がすかさず日向の頭の上でゴリゴリと拳を捩らせる。
「いだだッ、監督ッ、イダイッ、止めて!す、すいませんでしたってば!」
「てばは余計だ、バカ!要らん世話をかけんなよ、ッとにお前らはッ!」
「自分らで直させれば良かったんですよ。徹夜でも何でもして。伊達工の青根もいるんだから、帰る迄には直るデショ。いくら迷惑者が邪魔しても、彼ならコツコツ頑張るでしょうからね」
月島の声が冷たく突っ込んで来た。