Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
傍らで蜘蛛の巣だらけの西谷がにかッと笑って手を振る。
「何だ、デートか、谷地!」
「違いますよ!何やってんですか、もう!練習終わっちゃいますよ!!」
「おお?マジでか!ハハハ、そっか!」
飽くまで朗らかな西谷の隣で、青根が手にしていた鉄格子をそっと下に置く。小さな人影がその陰にサッと隠れた。
「京助!!」
野村の厳しい声が飛んで人影がビクッと跳ねる。
「こんなところで何をしてる!?」
「ごめんッ、兄ちゃん!!!」
青根の袖を握り締め、京助がでっかい声で謝った。
「兄ちゃん?」
蜘蛛の巣だらけの三人が顔を見合わせて、京助を見下ろし、野村を見た。
野村は苦虫を噛み潰したような顔で三人の視線に答える。
「うちの弟が迷惑をかけたようだな。申し訳ない。・・・ネコ吉をこっちによこしてくれ。臨月なんだ、そいつは」