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Run.run and fly. ーハイキュー!!ー

第4章 青少年会館ー宿舎ー


「迷惑をかけてすまないな」

頑ななまでに一定の距離をとりながら歩く梅誠の主将にポツリと言われ、谷地は窓の外ばかり眺めていた目を前に向けた。

赤い顔で濡れタオルを左耳にあて、一言もなく黙々と歩く野村にどう接していいかわからなかったし、保健室の場所はわからないから黙ってついて行くしかないし、表の池の景色が楽しげだったし・・・正直、話しかけてくれなくてもよかったのにとチラリと思う。
が、ブンブンと頭を振って、谷地は野村の後ろ姿に笑顔を向けた。

「全然そんな事ないです!私、マネージャーだし、全然、ないです!」

「・・・そうか」

速足だった野村の歩調が少し弛んだ。

「うちにはマネージャーはいないからな・・・」

「あ、そういう学校は少なくないデスよ」

「女子部には三人いる」

「・・・そ、そう、いう、学校は、初めて、・・・かな?」

つかえた谷地に、野村の肩が笑ったように揺れた。

「男子部はまだ弱いからな。こっちでマネージャーをするくらいなら、女子部で選手を目指すか、マネージャーをするという正直な女子が多い」

「女子がダメなら男子のマネージャーを・・・」

「・・・石川辺りを筆頭に部員が暴動を起こす。俺も気持ちがわかるだけに止める自信がない。部が空中分解する」

「え?アハハ、またまた。そんな事・・・ある・・・感じなんですか・・・?」

「ある。男子高生の夢と憧れを甘くみるな。特に俺たちは色々な意味で強い女子部を横目に活動しているからな。潤いに餓えているのだ」

"餓えているのだ"って・・・"のだ"って、何ソレ。・・・な、何か怖いんですけども・・・

「・・・ところで宮城の学校は、校舎を生徒が破壊しても大した問題にはならないのか?」

ヒイと身を竦めていたところに妙な事を言われて顔を上げると、野村の背中がすぐ目の前にあった。

「うぶッ」

急に止まれなくて他愛なくぶつかると、初めて野村が振り返った。呆れたような顔で谷地と窓の外を見比べ、耳からタオルを離す。

「因みに岩手ではそれなりに大問題になる。・・・どうするんだ、あれ」

鼻を押さえて窓の表を見ると、大きいのと小さいのと、四つの人影。

「ひ、日向ぁ!?何やってるの!!」

人影がこっちを見た。

「あー、谷地さぁん!見てホラ、ネコ美だよ!」

能天気な声をあげたその腕の中に猫。
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