Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第3章 盛岡梅誠高等学校
「・・・・おい、何言ってんだかわかんねえけど喧嘩売ってんなら買うぞ?何で叩いた?今何で叩いた?」
いきなり襲いかかってきた田中を石川がジッと睨み付けた。
田中は握り締めた拳を振りながら、そんな石川に大真面目に抗議する。
「俺たち仲間じゃねえか!遠くに行ってんじゃねえぞ、デコッパチィ!!」
「・・・・・・デコッパチ?」
「何だ?デコッパチはヤか?じゃオデコハチモクはどうだ?」
「黙れコケシ野郎。クリックリの頭しやがってバアちゃんちの棚に飾ってやっか、あ?地震か引っ越しでもねえ限り一ミリも動けねえ無限地獄に落としてやっぞテメエ。大体テメエの仲間になった覚えなんかねェ。夢みんなら宿舎帰って寝てから言え、バカ垂れがは・・・・ッ」
広いオデコに痕がつくだけの勢いでボールを受けた石川がのけ反る。
弾き返ったボールを器用に腕を伸ばして片手で受けたのは月島。そのままボールをトントンと床に突きながら右手で眼鏡のツルを押し上げる。
「おデコ、赤くなってますよ?主将さん連れて保健室行ったらどうです?」
「・・・・おい、わざとか今の?」
「僕がやったんならわざとだと答えますけどね」
月島が顎をしゃくった先に二発目を振りかぶる影山の姿が見えた。反射的にレシーブの構えをとった石川だったが、右と左から澤村と菅原に叩かれた影山が二発目を繰り出す事なくボールを取り落とした為、息をついて腰を伸ばした。
「何でお前はそうポンポンポンポン人に喧嘩を売るんだ!?」
澤村が腰に手を当てて言えば、ボールを拾い上げた菅原は苦笑する。
「ボールをそういう使い方したら駄目だべや」
「・・・・いや、何かたまたま・・・」
「何がたまたまだ!ボールだけにか!?面白くないぞ、影山!」
「・・・・ハハ・・・そう思うなら言うな、大地。全然上手くないから。月島が凄く真顔だし影山は聞いてないし、笑ってんのは田中と鎌先だけだぞ?」