Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第3章 盛岡梅誠高等学校
「一番悪ィのはアイツだかんな。何が悪ィって感じが悪ィ。覚えとけ、ミサワ?ミサワだっけ、アンタ?」
「いや、僕はみやざ・・・」
「兎に角。アイツが一番悪ィ。たく、隙さえありゃ絡みやがって、俺が何したってんだ」
「・・・よくわからないけど、いかにも凄く色々やってそうな気が・・・」
「あ?」
「しない。そんな気はしないな。うん」
「何の話だ?あん?」
宮沢から取り上げたボールを目もくれずにビョッと投げて影山は顔をしかめた。
「ふがッ」
ボールは二口の後頭部にあたって気持ちよく体育館の天井近くまで跳ね上がった。
「かッ、缶コーヒーんとこ当たった!ひでででで、いてェ、クソッ」
宮沢が呆気に取られてフンと鼻を鳴らす影山と、頭を抱えて屈み込んだ二口を見比べる。影山はむっつりと宮沢に顔を向けた。
「因みにアイツも悪ィ。伊達工じゃ一番悪ィ。何が悪ィって頭が悪ィ。覚えとけ、・・・・・えー・・・アンタ誰だっけ?」
「み・・・」
「あぁ、ミサワな。覚えた」
「いや、僕はみ・・・」
「テメエ、マジ覚えてれよ、塩辛キング!言っとっけどなッ、あのソフト、イカなんか入ってねんだからな!?ありゃ塩チーズソフトだ、バカ!」
「キング言うなアホウッ、塩チーズソフトなんてンなモンあるか、ボケッ!塩辛ソフトだ、なあミサワ!?」
「あの、サービスエリアの?あれなら塩・・・・」
「おら見ろ、塩辛だ!」
「塩しか言ってねえじゃん!塩何だよ、ミサワくん!?チーズだろ!?辛じゃねえだろ!?」
「・・・し・・・・」
「うらヤッパ塩辛じゃねえか!?」
「"し"しか言ってねえよ!?ミサワくん"し"しか言わせて貰ってねえじゃんか!?」
「・・・・・ねえ。あの、ちょっと今言うのもなんだけど、ボクはみやざ・・・・」
「三陸の海の幸なめんな七三がァ!」
「テメエこそ酪農岩手なめてんじゃねえぞ!前髪でMの字書きやがって器用だなオイ!?風吹くとひっくり返ってWになんのか、ソレは!?言われる前に言っとくけど、俺の前髪は風吹いても三七にゃなんねえかんな!?不動の七三だッ!!!」
「何の話だ、このバカ!」
笹谷が二口の後頭部にこの日三度目の衝撃を食らわした。
「ぐッ!さ、笹谷さんッ、そこは駄目でしょ!?今日はもうそこは駄目ですって!痛いの乗員オーバーしてんだからッ!!」