Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第3章 盛岡梅誠高等学校
苦笑いした月島に田中と西谷がキョトンとした顔を向ける。
「なしてサボんなきゃねえのよ?ちゃんと行くよ、ガッコ」
「こう見えて田中は真面目なんだぞ。見損なうな、月島」
「・・・・本気ですか。自転車で宮城までどんくらいかかると思ってるんです?」
「車で二時間半くらいだったろ?三時間ありゃ着くべさ」
「・・・・え?」
「田中、高速のってんの忘れてるぞ?三時間半はかかるって」
「あ、そっか。高速のってたな。じゃ三時間は無理だ。てか三時間半も無理だな~。四時間はかかるなぁ」
「四時間かかるか?飛ばせよ、お前」
「飛ばせば三時間ちょいか?」
「そんくらい?」
振り返った西谷の視界に、山口を伴って梅誠高校へさっさと入っていく月島の後ろ姿が映った。
「ぅおーい、ツッキー?何だお前話の途中で!」
田中の声に月島が後ろ向きのままブンブン手を振る。
「・・・・何だ、アイツ。便所か?」
バスの荷台から荷物を引っ張り出していた影山が呟いた。傍らで小柄な体に大荷物を抱えた日向が首を傾げる。
「影山伝染した?」
「伝染るかヴォケッ!」
「俺が伝染したかも知んないなー」
「ふーん。便所じゃしょうがねえな・・・・って、流石に伝染んねえよ!ガリガリくんの呪いか!?」
手振りつきで勢いよく西谷に突っ込みを入れた田中が、誰かにドンとぶつかった。
「・・・と、悪ィ・・・」
振り向いた目に入った伊達工の縫い取り。この高さは・・・・
「おう、青根・・・・」
・・・と、伊達工の面々。
「・・・・・・・」
ぶつかられた青根が、律儀に頭を下げた。
「いーって、青根。ぶつかられたのはお前なんだからペコペコすんな。たく、よその学校の前で下ネタかよ。何やってんだ、烏野は」
鎌先が肩に担いだスポーツバックを持ち直しながら、呆れ顔で言う。
「下ネタじゃねえし。今日の体調確認デスよコラ」
下唇を突き出して言い返す田中に茂庭が苦笑した。
「そういうのはバスに乗る前にすませた方がいいと思うぞ。置いてかれてるけどいいのか?それとも俺らと一緒に入りたい?」
「ちっこいコにあんな荷物持たせて、先輩とはいえちょっとは手伝ってやりゃいいのに」
半笑いで言う二口の視線を追うと、大荷物を担いで先に行く影山と日向の姿があった。