Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第2章 紫波サービスエリア 下り
「ッつぁ~、チクショウ!そっちの貧乏バスこそ走行中に分解しろ!あだだだだッ、何だよ、小原ッ!耳引っ張んな!」
「も、いいから行くぞ。おばあちゃん急ぐんだってよ。置いてかれたらどうすんだ。お前がおぶって走ってやんの?出せんのかお前、時速百キロとか」
「出せるわッ!」
「おい青根、親切に驚いてやんなくていいって。出るわけねえじゃん、コイツからそんなスピード」
「出るわッ!」
「いや出ねえし。落ち着けバカ」
「・・・・伊達工ってアホウの集まりなんだな・・・・」
休日の人混みに遠ざかるやり取りを聞きながら、影山がポツンと洩らした。東峰がブッと噴いて田中が大笑いした。
「ハハハハ、言うねえ、影山!ガリガリくんに完敗して青い顔してたのが嘘みてえだぞ!ハハハ!」
「うちも伊達工に負けてませんよ、田中さん」
月島はうんざりと言って西谷に視線を移した。
「それ、食べるんですか?」
まだその手元に残っている主役不在の大判焼きに顎をしゃくる。
西谷は首を傾げて唸った。
「これにウインナーがのっかってるとこ想像してみたんだけど、難しいわ。餡コとクリームしか浮かんで来ねえのな」
「・・・・あっちの売店で売ってますから、まさかそれに口つけないで下さいよ。他人事ながらゾッとしない・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ッ!!!!」
月島はやおら大口を開けた西谷の手から、バッと大判焼きを取り上げた。
「何してるんですか!?口つけるなって言ったばっかじゃないですか!?西谷さん!?」
「あー、ホントに腹減ってんだな。まあ腹下しが治って良かったよ」
東峰が穏やかに苦笑して西谷と影山の背中に手を回した。
「何、その、こびる焼きっての?奢ってやるからあっち行こうな?清水もいるぞ?ソフト食ってるぞ」
「!!!潔子さんとソフト!!!!」
西谷の背筋がショキーンと伸びた。
全然呼ばれていない田中の目もカッと輝く。
「潔子さんとソフト!!!女神とアイスゥ!!!!」
西谷が騒げば、
「神だ!今高速のサービスエリアに神が降りて来てるぞ!うわあぁあぁぁ!!!!」
田中が悶える。
「潔子さんんンン!!!!!」