Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第2章 紫波サービスエリア 下り
「青根。何やってんの?」
トンと背中を指先で突かれて、青根が振り返る。
二口と小原が好いたらしい匂いのするツクネの串焼きと大判焼きのようなものを行儀悪く立ち食いしながら、チョスと手を上げた。
「?何だ?ウチのエースに何の用よ、アンタら」
烏野メンバーに囲まれている青根の姿に、二口は首を傾げる。
次いでおばあちゃんに目を止めて、ん?と、いう顔をする。
「寄ってたかってお年寄り困らせて何やっちゃってんの?お年寄りは大事にしなきゃ駄目じゃん。ねえ。おばあちゃん、どしたの?迷子?・・・は、うちとこのエースか。おい青根、そろそろバスが出るぞ。おばあちゃんは?どっちから来たの?あっち?じゃホラ、一緒ン連れてったげるからおいでよ。ハイハイ、デカいのに囲まれて怖かったねー?デカくないのもいるけど」
言いながら二口が青根の首根っことおばあちゃんの手を引いてガンガン歩き出す。が、思い出したように立ち止まって二人を小原に託した。
「忘れるとこだったワ。これ、さっきのお礼な!」
西谷と影山の前に立つと、食べかけのつくねと具のない今川焼をグイと押し付ける。
「ゴードーエンセーよろしくねー。仲良くやろうなー、ハハハ」
手を振って小原らを追う二口と、取り残された今川焼を見比べて西谷が首を傾げた。
「・・・何だ、こりゃ?」
「あぁ、これ、こびる焼ってヤツですよ。本来ここンとこにグルッとソーセージがのっかってんですがね」
「ぅおッ、何だ、月島!ビックリすンな!」
不意に現れた月島が、眼鏡のツルを押し上げて西谷からボスブラックを取り上げた。
「田中さん。これ、忘れ物」
言うや、側でポケットに手を突っ込んでニヤニヤしていた田中に放ってやる。
「ぅおっと!」
田中はアタフタとボスブラックを受け取ると、呑み込み顔でニヤリと笑って振りかぶった。
「ふぅたくちくゥ~ん、青根くんにプレゼントオォ!!!!!」
「あ、バカ、田中止めろ!それは痛い!」
「田中さん、止めろ。・・・俺がやる」
東峰と影山が揃って言うのを尻目に田中の手から放たれたボスブラックは、黒い線を描いて二口の頭を直撃した。
「・・・・・ッ!!!!!」
二口が頭を押さえて屈み込んだ。
「ふったくっちくゥ~ん、ゴードーエンセーよろしくねえ~!!!あとバスゴージャス爆発しろ!」