Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第2章 紫波サービスエリア 下り
「何やってんの?伊達工もここで休憩?」
日向が青根とおばあさんの側に現れた。
田中は期待で目を輝かせながら更に様子を伺う構えで、月島の袖を離した。
「出たぞ、うちの最終兵器キングオブKYが。ククク、見ろ、日向見ただけで青根が困った顔になっちゃったぞ?」
月島は呆れも尽き果てた顔で田中と日向たちを見比べて、眼鏡のツルを押し上げた。
「決まり悪いんデショ?あんなトコ見られて」
「何でよ?悪い事してる訳じゃねーんだから、キリッとしてりゃいーじゃん」
「・・・思春期の心の機微を田中さんに語っても猿にフロイト読ませるようなモンだから黙りますよ、僕は」
「何?おバァチャンコーヒー呑みたいって?何だ、早く言ってよ!ホラ」
日向は自販機に小銭を突っ込むと、躊躇なくボスブラックのボタンを押した。
「・・・・・・!!!!!」
「あンれェ・・・・」
「ん?何?」
「・・・・・・」
「・・・プガ・・・ッ、プッ、クハ、ダハハハハハッ!!!!!さ、流石キング!期待を裏切らねぇ!!!!」
「・・・ホントある意味天才ですね、アイツは。物事を引っ掻き回す天災・・・」
「な!見ろ、青根がない眉八の字にしてMax困り顔だぞ?ブハハハ。バァチャンがフォローしてっぞ?何かいいな、かわいいな!」
田中が月島の陰で海老のように丸まって悶え笑った。
「助け船出してやったらどうです?先輩として?」
「月島が助けてやれば?」
「ヤですよ。メンドくさい。さっさとカフェオレ買ってあげりゃいいだけの事デショ?わざわざ助けに出なきゃない事じゃない。何オタオタしてんだか。バカらしい」
「しょーがねえな!アイツらの相手させてちゃバァチャンに悪・・・あ、青根がカフェオレ買ってやったぞ?」
「・・・日向もやっと事情がわかったみたいですね」
おばあさんと青根にバネ人形の様な勢いで頭を下げた日向を見て、月島が溜め息を吐く。