Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第2章 紫波サービスエリア 下り
「うるさい鎌先。そういう話はしてない」
「あー・・・、じゃ、俺たちはこのへんで。みんな待ってるから。ホラ、西谷、影山、行くぞ?」
「うぃ~す」
東峰に促されて西谷と影山が動いた。
行きがけに二口の手にコーンの先っぽと溶けたソフトを有無を言わせず押し付けて、東峰の後を追う。
「ちょっとちょっとちょっとー!?何これェ!?」
「遠慮すんな。食っとけ、旨いぞ」
「塩辛だからしょっぱい・・・かも知れない」
「要らないし!!!!」
溶けてベロベロになったソフトのついた手をブンブン振りながら、二口は二人の後ろ姿に叫んだ。
「お前ら、後で覚えてろよ!」
「・・・・・・・・」
「だがらね?おいはこの、あいだァ、ボスのォ、カヘオレが呑みてんだども。わがる?Tomy・Lie・Jonesな?わがっか?うつぅ人がcommercialしてっぺさ?イケメンだスなやぁ~、Tomy~」
「・・・・・・・?」
「あ"ー、わがんねっが。あのな、まんつ、おいなば、ほれ、この通りちっちぇべ?んだがらよ、あっこまで手が届かねの。おにぃさんだば、でげぐでるがら、何も何も、カヘオレのボタンこ押ささるのもなってもねすべ。あれェ、カヘオレ呑みてなァ・・・」
「・・・・・・」
191センチが、不意に得たりと頷いた。
「あは、わがってけだ?わがった?あれ、ありがてごど!」
143センチが嬉しそうにシワだらけの手を打ってガマ口を開ける。
小さな年季の入った手から、大きなテーピングだらけの手に、百円玉が二枚、十円玉が四枚。
掌を覗き込んで慌てて首を振った大柄な少年に、ガマ口をパチンと閉めた小柄なおばあさんが笑顔を向ける。
「バァチャンのお礼だなス。要らねって言われだらハァ、がっかりしてしまうがらナ。あだも好ぎだの買いなっせ」
眉のない強面に困りきった表情を浮かべた少年の手をおばあさんはにこにこして両手で包んだ。
「はえぐはえぐ。バッコどご置いで車コ出てしまうべは」