第7章 戸惑う心
走ってヘリポートまで向かい、そのまま乗り込む。
ドクターヘリには操縦席、副操縦席を除いて最大4人まで乗ることが出来る。
ストレッチャーに乗った患者が1人とその他3人は医師。
今回私はいつもと同じ右側の席に座り、その隣に藤代、藤代の向かいにナースが乗っている。
ベルトをし、ヘッドホンを装着する。
そして左足で足元にあるスイッチを踏み、消防に確認を取る。
踏んでいる間は無線が繋がっている。
ちなみに病院へ連絡する際は私と藤代の中央、上部分にあるスイッチで行う。
「亜城西ドクターヘリより杉野消防。
詳しい情報入って来てる?」
この無線の音声もヘッドホンを通じて全員に聞こえており、状況把握が同時に出来るという仕組みになっている。
『えー、こちら杉野消防。
高速道路で玉突き事故。
負傷者は少なくとも20人にのぼると思われます』
負傷者は最低20人。
かなり厳しくなることに違いはない。