第6章 初めての…
pipipi……。
部屋の隅、目立つところにあるモニターの305号室が赤く光った。
急変だ。
モニターが異常を感知し報せている。
「ちょっと行って来る」
「行ってらっしゃーい」
*****
病室へ入り様子を伺う。
現在の容態は、数値は、原因は。
術後で状態も安定した筈だ。
「あっ、先生っ。
すみません、主人ったら絶食してなきゃいけないのにご飯食べたみたいで……。
本当にすみません、私が少し目を離した隙に……」
患者の奥さんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「あとでにして、時間ないから。
緊急でオペする、オペ室の空き確認して」
「はいっ」
どうして禁止されていることをする訳?
食べたら命に関わる可能性があるって何度も説明した筈なのに。
理解出来ない。
いや、理解したくはない。
イライラしながらオペ室へ向かって走る。