第6章 初めての…
「でも災害現場に行くということには変わりないですよね?
危なくないんですか?」
これもまた質問されなれた言葉。
「事故や災害現場に医師が行く。
ドクターヘリに危険が避けられないのは事実」
危険だからといって逃げ出すことはしたくない。
現場から逃げたら患者から逃げるのと同じ。
患者から逃げてしまったら、助けられる命も助けられなくなる。
「それにね、水原ちゃん。
現場に医者が入る時は必ず消防が安全確認してから入るの。
事故の場合は二次災害の危険がない場所に患者を救急車で搬送し、ヘリもそこへ行き処置する。
ヘリよりも消防や救急車の方が先に出動するからね。
この場所はランデブーポイントって言って、事故現場付近でヘリが降りられる場所に決めるの。
ヘリの現場到着時間をCSがわずかな時間で計算してくれるんだよ」
CSはドクターヘリには欠かせない存在。
我々フライトドクターと、現場を繋ぐ存在。
ヘリの運行状況や、現場情報、また現場と病院の橋渡しを行う。
現場の場所と病院の距離を計算し、その中間地点でヘリが着陸出来そうな場所を導き出してくれる。
「我々医師は現場で怪我をしないよう最善を尽くす。
患者よりもまず医者を、自分の身を優先させる。
医師が怪我をすればそれだけ救える命も減るということだから」
「そういうことだよ、水原ちゃん。
現場で医師が怪我をしないこと、それが1番さ」
現場で医師が怪我をしたとなれば安全管理委員会が開かれ面倒なことになりかねない。