第6章 初めての…
「行かない」
説明が終わり改めて断る。
「そうなるとまた必然的に僕になっちゃう訳?」
「その他の雑務は神崎の仕事」
書類を引き受けた際に交わした条件。
「講演会は雑務なのかな?」
「当然。私にとっては1番の雑務」
話したところで私に利益はない。
無駄な時間を過ごすことになるだけ。
「なんなら2人で行っても良いんだぞ?」
「2人で行ったらヘリが飛べなくなる。
ヘリが飛べなかったら助けられる命も助けられなくなる。
そんなの本末転倒でしょ?勿論行く気は全くないけど」
講演会よりもヘリに乗りオペに入りたい。
「ふー……じゃあ僕が行くよ。
神那ちゃん、その代わり貸し1ね?」
「あっそう。そういう言い方するなら私が行く。
その間の私の分の書類、全てやってくれるんでしょ?
神崎の分も含まれてるから実質2人分だけど」
ニッコリ、と残っている書類の束を指差す。
「な、なんでもないよ。忘れて。
喜んで行かせて頂きます……」
すぐに顔色を変える神崎。
神崎の中ではデスクワークが何よりも嫌いらしい。
まるで宿題嫌いの子供のようだ。
「やっぱり神崎か。じゃあ明日頼んだぞ」
「はーい」
白衣を翻しながら帰って行く青島。