第6章 初めての…
「ははっ、まぁな」
助けを求め青島の方を見たのに笑って返されてしまう。
「それよりなんの用?青島」
特に興味のない話題だったからすぐに切り替える。
ほっ……と人知れず安堵の溜め息を漏らしたのが誰かは言わずとも分かるだろう。
「あぁ、忘れるところだった。
こっちの書類を霜月に、提出はいつでも良いぞ?
納期はまだ先だからな。
それから今度の講演会にどちらか出て欲しい」
神那に書類を渡し、こっちが本題だと言わんばかりに口元をニッと上げる。
「パス」
貰った書類に目を通しながらあっさり断る。
講演会なんて何も役に立たない。
そんなものに時間を取られていて、その講演会中にアクシデントが起きないとも限らない。
講演会なんてしてたら現場に出るまでに時間が掛かって、救える命が減ってしまう。
「おいおい、せめて内容を聞いてから断ってくれよ。
相変わらずだなぁ、霜月は」
「興味ない」
どうせろくなことじゃないだろう。
「日時は明日の午前9時から。
場所はこの近くにある会場、これが地図な。
ドクターヘリについて現役のフライトドクターに直接話を聞きたいそうだ」
神那が興味を示さないことは分かっていた為、気に止めることなく話を進めて行く。