第6章 初めての…
青島は救命医ではないが、ヘリ立ち上げに貢献したという事柄から救命として接することも多い。
現場に出ることはないけど。
その為ユニホームは我々救命医と同じ藍色。
違うことといえばそのユニホームを隠すかのように白衣をまとっているということ。
「講演会なんて凄いじゃないですか!」
1人興奮しているフェロー。
講演会なんて別にそんなに珍しいものじゃない。
「あ、でも大変ですね。こんな急に決まるなんて」
「いーのいーの、こんなの慣れっこだから。
医局に居た時もこんな感じだったし。
前もって連絡が来る時もあれば、急遽予定が入ることもあるの」
予定のオペ、緊急のオペ、学会、論文、その他諸々。
「神那ちゃん、せめて資料だけまとめといて貰えるかな?」
「もう出来てる」
神崎が講演会で使う資料を作成するのは私の仕事。
ファイルにまとめてあるそれらを神崎に手渡す。
「流石、仕事が早いね」
講演会で聞かれることや説明することは毎回毎回同じようなもの。
だから資料もそれまでの資料に少し加えるだけで良い。
毎回資料を作り替える必要はない。