第5章 機械と呼ばれる理由
いくら相手が高齢とはいえ神那ちゃんも女の子。
どんなに頑張っても体力には限界がある。
「押さえるの代わるよ、辛いでしょ?
水原ちゃんは急いで抑制剤持って来て!急いでねっ」
「は、はいっ」
目を疑うような光景に戸惑いを隠せない。
けど今は戸惑ってる場合じゃない。
固まって動かない身体に鞭を打って走り出す。
急いで抑制剤持って来なきゃっ。
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走って処置室まで行き、セット一式を借りてまた病室まで走って向かう。
外科医は体力だってどこかで聞いたことあるけど。
まさしくそうだなぁ、と走りながら痛感する。
特にフライトドクターは院内からヘリポートまで走る必要がある。
「も、持って来ましたー!」
全力疾走での往復は流石にキツイ。
「じゃあ早く神那ちゃんに渡してっ!」
「はぃぃ……ど、どうぞ!」
珍しく声を荒げる神崎。
初めて見る神崎のその様子にたじろぎながらも慌てて持って来たものを神那に手渡す紫音。