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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第4章 現実


腕を組み、遺族をしっかり見据えて口を開く。
弱気になったらそこにつけ込まれるだけ。
私は間違った処置はしていない。



「医療ミスを疑うなら、こんな一医者を相手にしてないで警察や弁護士などの然るべき機関に相談すれば良い。
司法解剖して調べたら?調べられて困ることなんてないから。
証拠があってからこういう行動を起こして。
時間の無駄遣い」



司法解剖は高いけど、死因究明には1番適した手段だ。
その患者は末期のガンで至る所に転移があり、ここに転院して来た時には既に手の施しようがない状態だった。
年齢を考えれば体力が持つ確証はなく、手術も好ましくない。
患者の体力がが手術に耐えられる保証はなく、最悪の場合術死や、植物状態になる可能性があるからである。



だからせめて薬で痛みをとった。
死ぬまでの時間を少しでも快適に過ごして貰う為に。
その説明も患者と家族にした筈。
こちらは本人や家族からの同意を得た上で投薬を行っていた。
そもそもオペなんてしていないのだから、医療ミスなんて起こしようがない。



「人殺しの癖に……そんな偉そうなこと言わないでっ。
あんたに親を失くした子供の気持ちが分かるって言うの!?薄情者!」



長い髪を振り乱しヒステリックに声を張り上げる。
声を荒らげてもどうにもならないというのが、なぜ分からないのだろうか。
騒いだら解決するとでも思ってるの?



「その他の話がないなら私は帰る。
訴えるなら好きにすれば良い、諸々の費用が払えるならどうぞお好きに」



そう言って踵を返す。



「患者は結局のところ結果でしかものを見ない。
大事なのは結果じゃなくてその過程なのに」



ポツリと人知れず漏らす神那。
患者に限らず、大人というものは皆そう。
結果でしかものを見ない。
こういう遺族が居るから外科医の数が減っている。
そんな言いがかりをつける暇があったら冷静に考えるべき。


「神那先生!ちょっと待ってください!」



慌てて着いて来るフェロー。
そういえはま居たんだった。



「あの、神那先生ってどうしてそんなに冷静で居られるんですか?」
「逆に聞くけど、どうしてあの程度のことで取り乱せる訳?」



理解出来ない。
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