第2章 外科的尊敬
「そうだよ、神那先生は凄いんだよ。
色々な病院回っても発見出来なかった病気をたった数分で見つけちゃったんだから。
私が今治療出来てるのも神那先生のお陰なの」
「神の目……」
「はいはい、話逸らさないの。
それに今日はもうヘリ飛べないからね、この時間から多少業務も少なくなるんだよ。
多少だけどね」
「え、どうしてですか?」
「ヘリが飛べるのは日没までなの。
それ以降の運行は安全面的観点から禁止されている」
「神崎、そんな初歩的なことわざわざ教える必要ない。
それにいちいち教えなくても自分の目で見て学べば良い」
音もなく病室に入って来た神那。
「そういう訳には行かないの。
言わなきゃ伝わらないこともまだまだあるの」
そんなことどうでも良いけど。
「点滴止めるよ、針はそのままだけど」
「うん!」
針は抜かず、途中のチューブを外し針の傍で固定する。
そしてそれがズレないようにテープで固定。
「痛い?」
「痛くないよ」
「少しでも具合悪くなったらすぐ言って。
それから……」
見た目が缶ジュースにそっくりのそれを机の上に置く。
「点滴分の栄養、つまりカロリーを補うジュース。
飲んでみない?
それなら少しは安心して外せるし」