第18章 居るべき場所
「まさか。
本当に手術が必要な病気なのか総合病院に診断して貰った」
「ど、どうだったんです?」
「父の言ってたことは事実、重篤な症状だった。
すぐに手術の用意がされたよ。
今まで将来の為にとコツコツ貯めた貯金を全てはたいて。
当時 “ 神の手 ” を持つと言われてた医師に頼んでね」
「っ」
「結果は術死。
原因は予想以上に病気の進行が早かったのと、軽い医療ミス。
その数ヶ月後、今度は母が病に倒れた。
当然医者にかかるお金なんかなく、ただただ弱っていくのを見てるだけだった。
それが私の医者になった理由で、神の手や奇跡を信じない理由でもある」
「そう…だったんですか…」
「しんみりしなくて良い、そんなつもりで言ったんじゃないから。
…………前、尋ねたでしょ……?」
「あ…覚えててくれたんですか?」
「一応」
「なんか…神那先生の信念が分かったような気がします」
クスッと笑った。