第18章 居るべき場所
「あのね…大事なのは誰から学ぶかじゃなくて、何を学ぶか。
歳下だろうが性格悪かろうが、巧いものは巧い。
変なプライドは成長の妨げになるよ」
「俺の為みたく言わないでくださいよ…」
目頭が熱く、鼻にツンと来るものがある。
「君の為だよ。
君は救命よりも……なんで泣くの?」
訳が分からない、といった様子で眉間にシワを寄せる神那先生。
「だって…俺は…」
「……私は貧しくもなく、裕福でもない普通の家庭だった」
「え?」
いきなり話題が変わり、変な声が出た。
「父親は仕事だって言い張って滅多に家に帰って来ない人。
母は私の学費や生活費を稼ぐ為に朝から晩まで働いてた。
そんな時、父が突然帰宅したの。
病気を患ってるから手術代を出して欲しいって」
「え、出しちゃったんですか?」
いつの間にか涙は引っ込んでいた。