第18章 居るべき場所
「私は君に心療内科への転科を勧める。
君には残酷な医療現場よりも、患者の心の傷を癒す方が向いてる」
「そういう意味…だったんですか」
「他に何かある?」
「いえ」
俺の早とちりだった訳か、と人知れず息を吐いた水原だった。
「1つ聞いても良いですか?」
「どうぞ」
「俺に…救命は向いてないですか?」
「だから、そういうことじゃ」
「分かってます!
そういう意味じゃないってのは…分かってます。
ただこれだけはどうしても知りたいんです。
俺は救命に向いているのか、そうじゃないのか。
神那先生的にはどう感じているのか。
俺個人の感覚じゃなくて、神那先生の口からちゃんと聞きたいんです。
俺の指導医は神那先生だから…」
「私は…救命は1人前になるまで時間がかかると思う。
向き、不向きは関係なく考えても。
君は別に特別能力が高い訳でも、才能がある訳でもない。
だから…今すぐ能力を発揮出来る心療内科が良いと思った」