第17章 起点
「分かったよ。
運べる患者からヘリなり救急車なりでここへ搬送するから、あとの処置は任せたよ」
「任せて」
「急ぎましょうや、純さん」
今日もまた忙しくなるだろう。
「水原も急いで準備して。
定員は決まってるとしてもそれを守っているとは限らない」
「はい!」
今日に限って近藤も恵も非番だ。
この2人は呼び出しても繋がらないことが多い。
パソコンを立ち上げ、今回の事故の状況を調べる。
「…」
状況を確認するとPHSでどこかに電話をかける神那。
「霜月だけど、すぐ来て」
それだけ告げると相手が聞き返すのもお構いなしに通話を終了させた。
「誰にかけてたんです?」
「青島。
今は人手が必要だから」
使えるものは使う。
それが救命だ。
「え、でも救命じゃないって…」
「細かいことはこの際無視。
青島は心臓外科医だから」