第17章 起点
「霜月!
一体どういうことなのか、ちゃんと説明してくれるな?」
息を切らせた青島が処置室に駆け込んで来た。
「ヘリコプターの墜落事故で負傷者不明。
墜落場所は亜城海岸。
とにかく今は人手が欲しい。
小言はあとで聞くから、とりあえず手を貸して」
早口で言いつつ、真っ直ぐ相手の目を見つめる。
「分かった。
オペ室は空いてるところだけでも押さえておくからな」
「助かる」
「患者さん来ましたー。
名前、年齢不明、右手骨折と腹部損傷です」
もうすぐ到着するという一報は入らず、そのまま患者が運び込まれた。
「一応近藤と恵に連絡入れておいて。
水原、この患者お願い。
先腹部を処置して次に右手の固定」
「はいっ」
ピピ…と機械音が響く。
『患者情報。
三上省吾29歳男性、全身の打ち身と頭部外傷。
現場の状況言うね。
患者数は5名、全部うちに運んでも大丈夫かな?』