第16章 命は皆大切なのだ
「それはね、神那ちゃんだって同じなんだよ。
自分が正しい判断をしているかなんて分からない。
不安だってある。
それでも覚悟を決めてやってるんだよ。
何もせずただ人が死ぬのを見るよりも、最善を尽くして死なれる方が怖いし辛い。
それでもなんとか助けようと努力する。
それが神那ちゃんだよ。
水原ちゃん最初に言ったよね?神の手って。
この世界に奇跡も、神も、絶対もないけどさ。
もし神那ちゃんがそれを持っていたとして、最初から持ってたと思う?
思わないよね。
神那ちゃんだって判断に迷うことだってあった。
僕はそれを見て来た。
けど、ただならぬ努力と “ 覚悟 ” でそれを乗り越えて来た。
今の神那ちゃんがあるのは、あの子が血の滲むような努力をひたすらに続けて来たからこそあるものなんだよ。
一朝一夕でどうにかなるようなことじゃない。
今の水原ちゃんに足りないのはその覚悟。
1人でも多くの命に救う、その為には誰に何を言われても屈しない、嫌われるのを恐れない。
そんな覚悟がね」