第16章 命は皆大切なのだ
「殺人犯って理由だけで患者を見捨てるのは認めないよ。
助けたい人を助けるのは、素人だって出来る。
それは僕らのような医者のすることじゃない。
医療の現場に私情を挟むな!
…的確な判断をして、 “ 助けられる命 ” を最大限助ける。
それが僕らのすることで、しなきゃいけないこと。
助けたい命じゃなく、助けられる命をね」
初めて見た。
神崎先生のこんな顔。
大声で怒鳴ったりしない分、遥かに迫力がある。
「思い浮かべてみてよ。
神那ちゃんならどっちを助けると思う?
感情で動くかな」
「いえ…。
確かに神那先生なら正しい判断をすると思います。
男性を優先させたと思います!
けど…。
けどそれは神那先生だから出来ることで…。
俺にはとても…。
怖いんです。
殺人犯を助けて、被害者から恨まれるのが」