第15章 感情で動く、愚かな医者
「転落かぁ。
どこ打ったかによるよね。
まぁ、悠くんなら大丈夫だと思うけどね」
「え、どういうことですか?」
「悠くんは内科医だけど。
僕が基本の脳手術、神那ちゃんが基本の胸腹部手術について教え込んだの」
「そんなこと可能なんですか?
脳もお腹もなんて、そんなことが…」
「普通は無理、不可能。
でも全て教えた訳じゃなく基本のことだけ」
「流石は悠くん、てことだよね。
医大時代から天才って言われてたから」
「ひぇ…天才ですか」
「まぁ。
ここに来れば天才だろうがエリートだろうが関係ないけど」
どこの誰であれ、顔色を伺ったり甘くしたりはしない。
「そこが神那ちゃんの良いところだよね」
「本当に厳しいですけどね…」
即答された。
「何言ってるのさ、そこが良いんじゃないの。
誰に対しても同じ態度ってのは早々出来ることじゃないんだから」