第14章 代わりはまだ居ない
「あ、ひょっとして過労からとちゃいます?
神那さん、見るからにムチャな労働してはったし」
「体調悪いんですか?大丈夫ですか?」
「だから違う…ッた」
否定しようと声を出した瞬間、頭に鈍く痛みが響いた。
「ほぉら、言わんこっちゃないでしょ。
今日のヘリ担は僕が代わるから、もう宿舎に帰って休みなさい」
「私の代わりは私にしか務まらない。
代わりなんてどこにも居ない。
…私がやるしかないんだから」
休む訳にはいかない。
例え身体が辛かろうが、休みたかろうが、それは変わらない。
休まないじゃなく休めない。
今の救命はそんな状態なのだ。
「自分の体調を悪くさせてまで仕事するのはどうかと思いますよ。
それに具合の悪い医者に診られる患者さんも気の毒です。
神那先生はもっと自分を大切にしてください」
自分を大切に?
「せやで。
神那さんはいっつも、なんでもかんでも1人で背負い過ぎや。
そんな華奢な身体で全部を背負い切れる程頑丈やないやろ?
少しは周りを頼ってくれてもええやん」