第14章 代わりはまだ居ない
バンッ、と隣で何かがぶつかる音がした。
「え?」
「いい加減にし、て」
一瞬言葉が詰まった…?
目の前で腕を組み、仁王立ちになっている神那先生が居た。
怒っているからなのか、顔が赤いような気がする。
さっきの音は神那先生が机に手をついて立ち上がった時の音だろう。
しかもその振動が伝わったのか、積み上げられた書類の1部が宙を舞った。
「あっ…」
「現場だけで生きていける程ここは甘くないよ。
確かに現場の方が多くのことを学び、経験出来る。
けど小さなことの積み重ねが大事だってこと、忘れたの?」
眉間に深くシワが刻まれている。
「すみません…」
この件に関しては明らかに自分が悪い。
「そのカルテ、今日中にね」
書きかけのまま放置されているカルテを一瞥し、呆れたように溜め息を吐いた。
「頑張ります…」
そういえば神那先生が書類溜めているとこなんて見たことないかも。