第14章 代わりはまだ居ない
あれから数日。
着々とヘリ同乗回数を重ねていった。
付き添いで他の先生は乗るけど、割と様になって来たと思う。
無線に身体を強ばらせることもなし。
最初より遥かにスムーズに挿管出来るようになり。
ヘリポートとの往復を苦にしない体力もついた。
あと必要なのって経験かな。
「あのさ。
ヘリにばかり重きを置いてないで事務仕事もマジメに取り組んでくれる?
君からの書類待ちなんだけど」
神那先生はあれ以来名字で呼んでくれていない。
「分かってますって」
とは言うものの、一向にはかどらない。
書類は溜まっていく一方だし、ヘリ要請は減るどころか増えている始末。
「ヘリの方がよっぽど身につくのに」
何気なくボソリと呟いた。