第12章 実力社会
「根拠は?」
ステーションへと続く長い廊下を並んで歩く。
「神那先生の身近な話で例えるなら…そうですね。
目の前に瀕死の患者が居るとします。
助かる見込みのない、まもなく失われる命です。
するだけムダだと分かっていても処置したいって思いません?
自分に利益はなく、逆に時間や体力を消費するだけ。
それでも出来る限りのこと、もしくは楽にしてあげたい。
そう思いませんか?」
得意気語るフェロー。
「…私は多分そうすると思う」
その場面を想像するまでもなく、自分なら確かな確率で救命措置もしくは痛みを取るだろう。
「ですよね!
神那先生ならそう答えると思ってました。
それにもう少し別の話をするなら恋愛ですよ」
「は?」
恋愛?