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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第1章 神の手と称される者


神崎から受け取ったココアを1口飲むとこっくりとした甘さが広がる。
と、そこへ……。



「あの、神那先生。
どうして分かったんですか?突き落とされたって……」



新たに談話室に入って来る者が1人。



「怪我の仕方を見れば大抵は分かる。
上から落ちたというのに損傷は頭部と腹部だけ。
頭部は落下の時、腹部は明らかなる暴力の傷。
真新しいものから時間が経っているものもあった。

それに落下したのにどこも庇わずに無防備に落ちるなんて馬鹿はいない。
それは落下する以前に意識がなかったか、なんらかの事情で防ぐことが不可能だったかということを意味する。

それだけあれば充分分かる」



ソファーに座りながら淡々と告げる神那。
なんの抑揚もなく告げるその声は機械音声と疑いたくなる程に平たい声だった。



「そういうことなの。分かった?水原ちゃん」
「わずかなことからそんなに分かるなんてやっぱり神那先生は凄いですね!」



飲みものも飲まず、立ったまま話す紫音。
こんなことで一々騒ぎ立てなくても良いでしょ。



「別に、これぐらい普通。
むしろ外科医なら出来て当然」
「あの、そういえば朝聞きそびれてしまったんですけど、救命って今何人居るんですか?
俺まだ全員に挨拶出来てなくて……」
「4人だよ、医師は」
「じゃあ神那先生と神崎先生と、青島部長……。
あと1人ですね」



指折り数えて行く。
青島……?



「あー、残念。それならあと2人だよ、水原ちゃん」
「え?」
「青島は救命じゃない」
「違うんですか?どうして?」
「あの人は救命から……患者から逃げた。
それだけ言えば分かるでしょ」



医者としてあるまじき行為。
患者に背を向けることなんて……。
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