第10章 公認と非公認
「それでも、神那先生が診たんでしたら…」
「医者は神じゃないっ」
声を荒げてフェローの言葉を遮る。
本当に悔しいのは君なんかじゃなく私だ。
発見が早ければ助かったかもしれない、ということだから。
「医者は神なんかじゃない。
出来ることなんて…たかが知れてる」
悔し気な表情でそう呟いた。
「だって…。
だってもっと発見が早ければ…その子は助かったんですよね?
他に何か…何かなかったんですか?」
もういい加減にして。
「もっと良い方法はなかったのか。
あとになってそう言う人は必ず居る。
むしろ居なくてはならない。
けど現場に居る者にしか分からないものがそこにはある」
現場に行かなかった人が意見を言わないで欲しい。
現場のことは現場に居る者にしか分からない。
「…藤代、明日のヘリ担代わって貰って良い?」
「え?ええけど…」