第10章 公認と非公認
「素直じゃないからね、神那ちゃんは」
「余計なお世話」
外科医にとって素直なのは命取りになり得ない。
お昼の時間はとっくに過ぎてしまっていた為、そのまま抜くことにした。
「でも神那ちゃん、よくあそこで患者見つけたね。
どうして分かったの?」
レスキューでさえも見つけられなかったのに、と目を丸くさせて続ける神崎。
「そんなの簡単。
私はある程度治療が終わったら現場をもう1度よく見るようにしてる。
現場の情報をより正確に把握し、次に備える為に。
その時に血液が滴り落ちるのが見えた。
最初はその患者のものかと思ったけど、改めて見ると流血という程のケガはしていない。
だからもう1人居る可能性を考慮して行動しただけ」
別に珍しくもなんともない。
簡単に言えば勘だ。