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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第8章 助かる、助からない


「居た……やっぱり。
レスキュー!急いでここ開けて。
くれぐれも中に気をつけながら慎重に。
それから神崎、悪いけど小児蘇生キット用意して」





【蘇生キット】
蘇生行為のABCDをセット化したもの。





【ABCD】
気道、呼吸、循環、薬剤(輸液も含む)のこと。





「それは良いけど一体どうしたのさ」
「早く!」
「もうっ、分かったよ!」



神那の剣幕に押され、慌ててヘリにセットを取りに行く神崎。



「はい、小児蘇生キットだよ」
「助かる」



中に見えたのは、血で赤く染まった子供の手。
ちょうど写真に写っていた子供と同じぐらいの年齢の手だった。
ひしゃげていた部分に挟まれ、気づかれなかったのだ。


患者は恐らく2歳から3歳と小柄。
おまけに義務づけられているチャイルドシートを付けていない。
横転した衝撃で身体が吹き飛び、見えづらい場所に挟まってしまったのだろう。
子供と車体との距離はわずか1センチ。



「神崎は先にその患者と戻って。
私はこっちを処置してから戻る。
かなり時間が経っている上に幼い……出来る限りのことはしたい」
「分かったよ。
じゃあヘリは往復して貰う、頑張ってね」
「もちろん」



「先生!救出出来ました!お願いしますっ」
「君分かる?分かったら手を動かして」


……反応なし。
瞳孔に左右差も出てる。
出血量が多く、心拍数も低下している。
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