第8章 助かる、助からない
車のドアを専用の器具で取り除くと、先程よりも中の様子がはっきり見えた。
「中に何か見える?」
「別に何もありませんけど」
「…そう」
勘違い、考え過ぎだったかな。
「神那ちゃーん、急いでヘリで戻るよ。
まだ処置完了してないからね。
病院戻ってオペしないと」
ストレッチャーに乗った患者と共に歩く神崎。
「すぐ行く」
踵を返すとチャリン…と何かが靴に触れた。
金属音?
破片か何か?
辺りを探すと血で赤く染まったネックレスを見つけた。
「患者のものか」
それを何気なく拾い上げるとスッと中が開いた。
そこには写真が入っており、子供と一緒に写っている笑顔の患者が居た。
「子供…?」
あ、もしかして…。
1つ思うことがあり、もう1度車体へ近づく。
「ちょっと神那ちゃん。
時間ないんだってば」
「少し黙って」
道路に片膝をつき、目を凝らして中を覗く。
すると見えたのは…。