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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第8章 助かる、助からない


『えー、あまり出ていません』


同じ言葉の繰り返し。
ダメだ、この人は使えない。
私の質問の意味を全く理解してない。
救命の現場を何も分かっていない。



「はぁ……損傷は胸部だけ?それ以外には何もないの?」
『胸部と頭部です』
「分かった、出動する。
詳細分かり次第無線で、君じゃない人が伝えて」



そう返事し受話器を置く。
これ以上話していても埒が明かない。
時間の無駄だ。



「念の為神那ちゃんも飛んでくれるかな?
頭部は僕が診るから同時に胸部の方お願い」
「分かった」
「連日で申し訳ないね」
「そんなこと今は関係ない。患者を助けるのが優先」
「うん、そうだね。行こうか」


一見すると挟まれていた胸部の方が重傷に見えるが事故の場合は分からない。
念を入れるに越したことはない。
コップやお弁当はそのまま放置し、機材を取りに行く為に処置室へ走る。



「開胸セット用意して」



出血は少なそうだから追加の血液は必要ないだろう。
ヘリにあるものだけで充分だと踏んだ。


「僕には切開セットね」





【切開セット】
個々に滅菌されたハサミ、ピンセット、持針器、メスをセット化したもの。





「はいっ」


それぞれセットを受け取り、ヘリポートへ向かって走る。
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