第8章 助かる、助からない
「どこ行くの?神那ちゃん」
「売店」
お昼は用意していないし人で混雑する食堂に行くのも嫌だから。
「そっか、もうそんな時間だもんね」
壁に備わっている電波時計に目をやる神崎。
「ついでに僕のお昼も買って来て?」
甘えたように言う。
「はぁ?」
どうして私が?
「あ、ほな俺のも頼んます」
「どうして?」
意味不明なんだけど。
「だって動くの面倒なんだもん」
「切り替えろ」
「神那ちゃん、口が悪いよ」
誰のせいだと思ってるんだか。
「ね?お願い」
神崎が上目遣いをしても可愛くない。
「はぁ…同じもので良い?」
「いいよ」
「勿論や」
これ以上言い合ってても時間のムダだから仕方なく私が折れることにした。
なんで私がこんなこと…。
バカみたい。
イライラして溜め息を吐きながらステーションをあとにする。