第8章 助かる、助からない
「それって会場が現場と近かったから来てくれはったん?」
「まぁね。
ニュースで事故のこと知って医師が足りないと思ったから」
「…どちらにしろ助かった」
「え?」
面食らったような顔をする神崎。
私がお礼を言ったらおかしいの?
怪訝そうな顔で睨む。
「ふふっ、神那ちゃんてば可愛いとこあるじゃないの」
「あ、純さん顔赤いで?」
「歳上をからかうんじゃないの」
まるでアルコールでも入っているかのように頬が色づいている。
「あの、トリアージってあるじゃないですか」
ガラリと話を変えるフェロー。
「うん、あるね」
それに眉1つ動かさず対応する神崎。
年の功というべきなのか性格というべきなのか。
「判断に迷ったりしないんですか?」
「判断に迷ったらより多くの人に貢献出来る方を選べば良い。
この基準で大きく間違うことはまずあり得ないから」
そう残した偉人の言葉を拝借する。