第4章 犯罪係数2
あなたという怪物
「あの――。」
「こりゃ同じ『常守監視官』でもえらく違うモンだな。綾ちゃんなら文句の一つや二つ、飛び出してるだろうに。」
征陸の台詞に、彼も綾を知っているのだと朱は悟った。
「――狡噛さん。姉は――、常守綾は今どこにいるんですか?」
朱が問えば、ドミネーターを構えていた狡噛は少し考えてから口を開いた。
「さっきも言ったが、綾の所在は俺が教えて欲しいぐらいだ。3年前のある日を境に、綾は忽然と姿を暗ました。生きているのか死んでいるのかさえ分からない。アンタだってそうなんだろう?」
奇妙な沈黙が3人を襲った。