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【ハイキュー!!】【短編】烏養繋心のクリスマス

第2章 嶋田誠の考察



「繋心、もしかして、オンナとかできた?」

飲み屋でズバリ訊くと、

「……は? なんだそりゃ」

びっくりするぐらい低い声がかえってきた。

怪しい。

いつも喋りの上下が激しい繋心が、何かを隠しているときの癖だ。
声がぐっと低くなる。

繋心は大ジョッキを飲み干すと、

「ちょっとトイレ」

そそくさとトイレに消えた。

これも、また早い。

まだ飲み始めて2杯目。

いつもの繋心のトイレタイムはもっと後。
長年の付き合いで、繋心の行動は大方わかる。

「おいおい、図星じゃねぇの?」

横でさりげなく聞き耳立ててた滝ノ上が目を丸くする。

「だな」

「珍しくないか? あいつが隠してるのなんて」

繋心や滝ノ上との付き合いは中学時代からだ。

その間誰かに彼女が出来たときは、すぐに教え合ってきた仲だ。

特に繋心は、よく可愛い彼女を捕まえるヤツで、同級生の中じゃ結構評判だった。

まめな性格でもないのに、なぜか可愛いほんわりした子から好かれる。

本人も、隠したりしない。

なのに……

「もしかして不倫、とか?」

滝ノ上が既に赤くなった顔でニヤニヤ笑う。

「まさか、それはないだろ、あいつに限って」

そう、烏養繋心は見た目いい加減だが、割と身持ちが硬い。
人の道としてハズレそうなことには手を出さない。

「じゃあ俺らが良く知ってるやつで、今更恥ずかしいとか」

ぱぱっと数人の顔が浮かんだが……

「いや、ないな、そりゃ」

「だな」

今更あいつが友人づきあいしてた女とどうこうなるとは思えない。
というか、そもそもその機会がない。

最近の繋心は、バレー部のコーチに本業の農業と店番で、かなり多忙だ。

「じゃあ、誰だよ……?」

滝ノ上と顔を見合わせる。

思いつかない。全く。

俺らにも教えたくない相手……

「よっぽど大事な人、だとか?」

「……ありえるかもな」

本当においしいお菓子は、隠しておく。

それが烏養繋心だ……
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