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【ハイキュー!!】【短編】烏養繋心のクリスマス

第1章 12月18日(土曜日)



タバコを吸いながら新聞読んでる顔は、ちょっと不機嫌そう。

眉根が寄ってる。

いつも、だけど。

「一応彼女をないがしろにしてることに、罪悪感はあるんだ? だったらクリスマス、一緒になにかしようよ」

来週末はクリスマス。

学校はもうお休みだから、時間はある。

「そうじゃねぇ、おまえに手を出したってことに、だ」

「……」

「手を出したことに、悪いと思ってる」

妙に真剣な声に、なんて答えたらいいかわからない。

それって、後悔してるってこと?

それとも……

レジ横のいつもの場所に座る年上のカレの、跳ねた髪の毛に触れる。

脱色して乾いた髪は、硬そうに見えて、実はほわんと軟らかい。

恐そうに見えて実は優しいカレみたいに……

「……やめるか?」

ポロリと毀れた言葉に、手がとまる。

「え………」

「付き合うの、やめるか」

いきなり何を言い出すの?

「なんで、急に……」

「別に」

烏養さんは、新聞から目を離さない。

下向いたまま。

こっち見てよ……

私、何かした?

「……別れたいってこと?」

「べつにそんなこと言ってねぇだろ」

「だってやめるかって、そういうことだよね……?」

「違うだろ。おまえがいろいろ無理ならっていう選択肢って意味で、だ」

「無理なんて言ってない!」

「どこにも連れてってやれないし、あんまり一緒にもいられない。なら付き合ってたってしょうがないだろうがよ……」

「……」

どうしてそんな淡々と言えるの?

もしかして……

「もしかして、別に好きな人ができた、とか……」

はぁ?と鋭い瞳を向けられる。

ようやく私のこと見てくれた顔は、苦い物食べたみたいに歪んでる。

「そんなんじゃねぇって。ただ、いろいろ無理があんのかもなって思っただけだ。別におまえがいいなら……俺はいいから。暫くはどこも連れてってやれないけど」

また新聞に目を戻そうとする烏養さんの頬を両手で掴む。

「っ、おいっ……」


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