第8章 お酒の味
こんなになるまで飲むなんて…呆れて溜め息が出た。
「直人ー、大丈夫ー?」
「…暑い…。」
直人はゆっくりと起き上がると、おもむろに作業着を脱ぎ始めた。
作業着の下はタンクトップ一枚だった。
筋肉質な体につい見とれてしまう。
「…シュリだー…。」
「だからここ私の部屋…。」
すると、いきなり直人に腰を掴まれ、直人の膝の上に座らされた。
「ちょ、なに…っ?」
「シュリさー、羽山くんと付き合ってるの?」
「へ?付き合ってないよ?」
「良かったー…。」
直人は力強く私を抱きしめた。
え、今、良かったって言った…?
「…シュリ…好きだよー。」
「え?」
「…シュリのご飯…好き…。」
それは私の事が好きってことですか?
それとも私が作ったご飯が好きってことですか?
心臓がドキドキしておかしくなりそうだった。
直人は今、酔ってるから。
だから変なこと言うんだ。
そう自分に言い聞かせた。