第7章 写真部
「相田先輩、あの…帰る時間とかって自由ですか?」
「うん、学校が閉まる前に帰ってもらえれば何時に帰ってもいいよ。」
「じゃああの、私と徹は今日は帰ります。さようなら。」
「はーい、さようならー。」
七瀬を見ると、田中先輩と楽しそうに話している。
邪魔するのも悪いし、今日は先に帰ろう。
私も鞄を持って、徹と一緒に部室を出た。
帰り道、バイトの話になった。
「なぁシュリ、一緒にあのカフェでバイトしよーぜ。」
「うーん、時給1000円は魅力的だけど…。」
「とりあえず今から行ってマスターと話してみる?」
「そうしようかな。」
徹に誘われ、二人でカフェに向かった。
カフェに入ると、マスターが笑顔で迎えてくれた。
「徹君、いらっしゃい。あれ?隣の彼女…。」
「前に一度来ました。あの時はすみませんでした。」
「いいんだよ。ほら、座って。」
カウンター席のマスターの正面に座り、私はアイスティー、徹はメロンソーダを頼んだ。
以前、スーパーで徹がジンジャーエールを買っていたのを思い出した。
「徹って炭酸好きなの?」
「うん、シュリは紅茶が好きなんだな。」
マスターが私達の前に飲み物を置いてくれた。
「マスター、バイトの話なんだけどさ。もっと詳しく教えてくれる?」
「お、働いてくれる気になったかい?」
「シュリもバイト探しててさ。あ、コイツ明智シュリって言うんだけど…。」
マスターが私を見て微笑んだ。
「シュリちゃんか。良い名前だね。」
「ありがとうございます。」
「バイトについては前に話した通り時給は1000円。日曜日は定休日だから休みだよ。仕事は主にホール…注文を取ったり飲み物を運んだり…難しいことはないよ。ちなみに賄い付き。」
「賄いもあるんですか?」
「うん、パスタやサンドイッチだけどね。」
時給が高い上に賄い付き…なんて美味しい条件なんだろう。
「ちなみに平日は私とバイトの子一人で回して、土曜日だけバイトの子を二人にする感じだよ。」
ということは、徹と一緒になるのは土曜日だけという事か…。
「だってさ、どうする?」
「私…ここで働きたい!マスターさん、面接して頂けますか?」
マスターはニコニコと笑いながら人差し指を立てた。