第7章 写真部
別所先輩に連れられて、窓際の席に座った。
窓から射し込む春の暖かい陽射しが心地良い。
別所先輩は私の正面に座ると、いきなり頬を撫でてきた。
細くて綺麗な指でなぞるように撫でられ、驚きのあまり体が固まってしまう。
「シュリって呼んでいい?」
「は、はい…。」
「俺のことも紫音って呼んで?」
「わかりました…。」
男の人にしては透き通った声、穏やかな口調。
完全に紫音先輩の雰囲気にのまれていた。
その時、私達の間に割って入る様に徹が紫音先輩の手を掴んだ。
「シュリに触るな。」
紫音先輩は全く表情を変えずに徹の手を振り払った。
「先輩には敬語を使おうね。羽山君。」
徹は紫音先輩を無視して私の腕を引っ張り、部室から出た。
部室を出た瞬間、徹は私の頬をつねった。
「いひゃい…。」
「お前は警戒心が無さすぎなんだよ。」
「ごめんなひゃい…。」
徹は手を離し、溜め息をついた。
「普通いきなり顔触られたら拒否るだろ…。」
「だって一応先輩だし…。」
「先輩になら何されたっていいのかよ?」
「そういう訳じゃないけど…。」
すると、部室のドアが開いた。