第2章 出会いの春
池田さんと別れ、私は駅に向かった。
今日は煮物でも作って、池田さんにお裾分けしようかな…。
何故か池田さんの事が頭から離れず、彼の眩しいくらいの笑顔を思い出すと心が温かくなるのを感じた。
池田さんの事を考えている内に、駅に着いた。
駅周辺にはカフェや雑貨店、居酒屋やスーパーがある。
至る所にアルバイト募集の紙が貼ってあり、それと睨めっこする。
一人暮らしをする上で、家賃や光熱費、それと最低限暮らせる程度の仕送りしか出来ないと親に言われた。
我が家は特別裕福な家庭な訳ではない。
一人暮らしをさせてもらうだけでも有り難いのだ。
そのため、必然的にアルバイトをせざるを得ない。
何件か気になる求人の連絡先を控えて、私は雑貨店に入った。
もうすぐ春というだけあって、桜をモチーフにした雑貨が沢山並んでいる。
「可愛い~欲しい~。」
しかし、アルバイトをするまでは我慢だ。
それでも、見ているだけで楽しかった。