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薔薇と向日葵

第6章 直人の素顔


私は料理に取りかかった。

しかし、問題発生。

直人の部屋には調理器具や調味料がほとんど無かった。

「直人、料理作れない。」

「え?なんで?」

「だって、ボールも無いしフライパンも無いしなんかもう色々無いよ…。」

「あ…。」

直人は苦笑いをした。

普段どれだけ料理をしていないかが解った。

ボールとフライパンくらいはあると思ったんだけどな…。

「もー、ダメじゃん直人ー!」

「ごめん…。」

直人が叱られた子犬みたいな顔をするから、怒る気も失せた。

こういうの、本当に狡い。

「私の部屋行こっか。」

「はい…。」

材料を持って、二人で私の部屋に移動した。

「あ、直人。煙草吸っていいからね。」

「え?でも匂い付いちゃうよ?」

「別にいいよ。大丈夫。」

「ありがとう。」

そうは言いつつも、直人はベランダの窓を開けて吸ってくれた。

私は手早くピーマンの肉詰めと味噌汁を作った。

「できたよー。」

料理をテーブルに運ぶ。
直人のご飯は勿論大盛りだ。

「うまそー。いただきます!」

今日も丁寧に両手を合わせてそう言った。

「直人ってさ、律儀だよね。」

「ん?そう?」

ピーマンの肉詰めを食べながら直人が首を傾げた。

「うん、毎回丁寧に両手合わせていただきますって言ってくれるし、毎回美味しいって言ってくれるし、洗い物も手伝ってくれるし…。」

「あー、そうやって教わって育ったからかな。」

「直人のご両親って良い親御さんなんだね。」

「あー…。」

そこで、直人は箸を置いた。

「どうしたの?」

「隠してた訳じゃないんだけど、俺養護施設で育ったんだよね。」

「え…?」

私も箸を置いて直人の話を聞いた。
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