第6章 直人の素顔
煙草を吸う直人の姿は少し格好よく見えた。
今まであまり意識しなかったが、直人は私より4歳年上なのだ。
成人しているのだから煙草を吸おうがお酒を飲もうが問題ない。
「あ、なんか飲む?」
「冷蔵庫、お酒とお水しか入ってなかったよ。」
「今ね、お茶買ってきた。」
直人は煙草をくわえながらスーパーの袋を漁った。
「あったあった。はい。」
直人が500ミリリットルのペットボトルのお茶を渡してきた。
「ありがとう。」
それを受け取り、キャップを開けて一口飲んだ。
視線を感じて直人の方を見ると、直人の手が伸びてきた。
「ホント可愛くなったなぁ。」
ワシャワシャと頭を撫でられ、いつもより意識してしまうのは直人の部屋に居るからだろうか。
恥ずかしくなった私は、その手を掴んだ。
「どうしたの?」
「は、恥ずかしいから…。私、ご飯作るね!」
立ち上がった瞬間、若干足が痺れていたせいで倒れそうになった。
咄嗟に直人が立ち上がって私の腕を引き、支えてくれた。
「あぶねー…大丈夫?」
「うん、ごめん…。」
直人の腕の中にすっぽりと収まる形になり、心臓がドキドキする。
直人はなんとも無かった様に私から離れた。