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薔薇と向日葵

第6章 直人の素顔


「ごめんシュリ、これから彼氏と会う約束しててさ。」

七瀬が申し訳なさそうに顔の前で両手を合わせた。

「あ、これからデートなんだね。」

「ごめんねー。」

「ううん、今日は付き合ってくれてありがとう。」

七瀬とはカフェで別れて、私はアパートに向かった。

今日の夕飯は家にある物で作ろう。
ピーマンとひき肉があるから、ピーマンの肉詰めにしようかな。

そんな事を考えながら歩いていると、後ろから車のクラクションが鳴った。

振り返ると、直人が車の窓から顔を出していた。

「あ、直人!」

「やっぱりシュリだ!」

直人は私の横に車をつけると、乗りなよと言ってきた。

初めて直人の車に乗る。
少し緊張しながら助手席に乗った。

「アパートまで帰る所だったでしょ?」

「うん!」

直人は車を発車させた。

「髪、切ったんだね。色も変わってるし最初気づかなかったよ。」

「今日ね、友達に付き合ってもらって美容室行ってきたの。」

「似合ってるよ、可愛い。」

好きな人に可愛いと言われるのが一番嬉しかった。

「ありがとう。直人今日は私服だね、お休みだったの?」

「うん。だからちょっと買い出しに出てたんだ。」

ふと、後ろの席を見ると、スーパーの袋に大量のカップ麺とビールが入っていた。

「またカップ麺…。」

「はは、やっぱり手軽に食べられるし便利なんだよね。」

直人は苦笑いをした。

「ていうか直人、お酒飲むんだ…。」

「うん、大人ですから~。」

なんだか子ども扱いされた気分だ。

「今日、ピーマンの肉詰め作るけど食べる?」

「食べる!!」

即答だった。
やはり直人は例えるなら犬だ。

アパートに着き、二人で階段を上がる。

直人は自分の部屋の前で立ち止まると、私を見た。

「なに?」

「たまには俺の部屋で食う?なんつって。」

意外なお誘い。

直人の部屋にはまだ一度も入った事がない。

好きな人の部屋…入ってみたい。

「うん、直人の部屋で作って食べよう?」

「え、マジで?」

直人は冗談のつもりで言ったらしく、目を丸くさせた。
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